誰でも、一人や二人豪傑にあったことがあろう、なければつまらぬ人生を過ごしてきたことになる。

豪傑

「能ある鷹は、爪を隠す」ということわざがあるが、まさにそのような人におめにかかった。
人生の過程でいろいろな人に会い、そして別れ、記憶に残る人、記憶に残らぬ人と様々だが、誰でも自分の人生を変えた人や魅力ある豪快な人にあっているはずだ。
”会ってないよ!”
という人はつまらぬ人生を過ごしてきたとあきらめた方がいいだろう。
爺は、神鋼商事の部長さんの記憶が強烈に今でも残っている。入社したての取引先の若い頃の爺を銀座のクラブに招待してくれたのである。
黙って座って居るだけで迫力のある人だった。
宴もたけなわになった頃、ウクレレを持ち出して、弾きながら歌いだしたのである。
ママが、爺に「部長さんはウクレレをクラブに預けていて、酔ってくると亡くなった奥様の好きだった知床旅情を歌うのよ」と耳打ちしてくれた。
この部長さんは、社内でエリートコースを驀進してる方であった。
取引先の新入社員を温かく招待してくれて、仕事とはと一つ一つ教えてくださったのを記憶している。
そして、日本の経済を動かしているのだというプライドが話の端々から垣間見えた。
今の時代、このような人にはとんとお目にかかれなくなってしまった。寂しいことだ!