特攻の若者の屍の上に今の日本がある。

聞けわだつみの声

小泉総理大臣の靖国神社参拝が話題になっている。
それに影響され「きけわだつみの声」を書庫から持ち出して読み返している。
若者たちが国の動向に疑問を持ちながら銃を手に南太平洋に散っていった記録なのだ!
ひとつ引用しよう。

「いはゆる上官と称するものの空虚さよ!狂態この言葉を贈りたい」

当時の軍隊というものが、いかに荒んでいたかが見えてくる。
自分の思想や生き方を、自由に選べない時代に生まれてきてしまった悲しさが其処此処に記述されている。
或る者は哲学署を、或る者は文学書を読み終えるまで命があってほしい、そしてお国のために散りたいと書いている。
死の瀬戸際まで学問に飢え、真理を追究している。
学問とは何かと考えさせられる。
学問とは命をかけて心を磨くものなのかもしれない。
もうひとつ引用しよう。

「人間の獣性といふか、そんなものの深く深く人間性の中に根をはっていることを恥々と思う。人間は人間がこの世を創ったとき以来少しも進歩していないのだ。今次の戦争には、最早正義云々の問題ではなく、
唯々民族間の憎悪の爆発あるのみだ。敵対し合う民族は各々その滅亡まで戦いを止めることはないであろう。恐ろしき哉、悲しき哉、人類よ!サルの親戚よ!」

この言葉は現在のアフガニスタンやイラクの戦争そのものである。
若くして散っていった多くの人たちの上に、今の日本があることを忘れてはならない。